- 地震に被災した後の行動と対策
一般社団法人全日本防災計画協会
黒田尚寛
一般社団法人全日本防災計画協会
黒田尚寛
マンションが多い都市部で災害が起こった場合、一戸建て住宅とは異なり、多くの住人との利害関係があるので、意見のとりまとめが難しく、復旧や復興に時間がかかることも多いようです。ここでは何か事前に備えることが出来ないか検討していきます。
万が一、自然災害によって自宅マンションに被害が出た場合、どのような保障制度があるのでしょうか。
分譲マンション、賃貸マンションどちらでも適用される可能性があります。
この支援金は被災した建物の「世帯主」に給付されます。その為、賃貸物件であっても申請は可能であり、最大3百万円の支援金が受け取れるかもしれません。また、使い道の制限は特に定められていないので、修理費用はもちろん、生活費に充てることも可能です。
東日本大震災以降に認められた制度で、分譲マンションのみ適用されます。
災害救助法に基づくもので、分譲マンションに1世帯当たり最大584千円の応急処理費用として支給されます。使途としては、個別の住戸部分、住戸外の廊下やエレベーター、階段などの共有部分です。尚、共有部分を修理して、本制度を適用するには複数世帯で修理する場合になります。
賃貸マンションの場合、保障されるのは家財のみです。
建物の修理、場合によっては建物自体の解体は物件の所有者である大家さんがすることになります。地震保険や火災保険に加入していたとしても、家財の被害に対しての補償となります。
分譲マンションについては、被災後の建物の被害への対応が課題となります。被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(被災マンション法)での対応は次の通りです。
マンション価格の2分の1以上に相当する部分が滅失した場合、マンションの所有者(区分所有者)の5分の4の多数決等で建物と敷地を売却するか、建物を取壊して敷地のみを売却するか、建物を取壊すかを決議します。
敷地を共有している人の5分の4以上の多数決で、敷地の売却を決議します。
昨今では近隣との交流が少なくなっていると言われ、自治会に参加しない方も増えているとの話もあります。しかし、分譲マンションの場合は同じ建物を共有している為、万が一の時に備えて普段からの話合いが必要になります。それが何よりの防災に対する準備になるのかもしれません。