被災した直後、避難をする最中や避難所で過ごす中で熱傷(やけど)や出血、骨折や捻挫をなどの怪我をした場合に適切な処置が必要になります。しかし、災害時には、普段なら手に入る救命道具も入手しにくい状態になります。代用品で、誰にでもできる応急手当の方法としてご紹介いたします。
熱傷(やけど)が重症化すると、熱傷(やけど)の範囲が広い場合に命に関わることがあるので、専門施設での治療が必要になります。熱傷(やけど)をした部分に感染を起こすと、菌が体内に侵入することにより、発熱や、やけどをした部分がさらに重症化します。重症でない場合にも、やけどをした直後に適切な治療が行われない場合には、治りが遅かったり傷跡が残ったりします
災害時は、できることが限られてしまいますが、すぐにできる処置として次のような方法があります。
1.患部に清潔な流水を掛けて冷やします。(患部が服の下であれば、服の上から流水で冷やしてください)15~20分程度、冷やすことによって、痛みも和らげられます。
2.やけどの程度が中等度以上であれば、冷やした後、湿らせたタオルで患部を冷やしながら、早めに病院へ行く。この時に、冷やしすぎにも注意する。
出血量が多いと、数分で出血死に至る場合があります。
出血した量が多いほど、また出血の速さが早いほど危険度が高くなるので、止血の手当を急ぐ必要があります。成人では体重1kgあたり、約80mlの血液があると言われています。
全血液量の20%が急速に失われると、出血性ショックと呼ばれる重い状態になり、さらに、30%を失った場合には、生命に危険を及ぼすと言われています。
子供の場合では、少しの出血でもショックをこす危険性がありますし、新生児は30mlの出血でも命の危険があります。
大出血時の止血方法として以下の2つがあります。
出血箇所を直接押さえつけることで止血する基本的な方法です。
包帯をきつく巻きつけることでも同じ様な効果を得られます。
<手順>
1.感染予防のため、レジ袋やポリ袋で手を覆います。
2.出血箇所を心臓よりも高い位置に上げます。(負傷者の負担になる場合は無闇に動かさないようにしてください)
3.出血箇所に清潔なハンカチやガーゼを当て、きつく押さえます。(出血が止まらない場合には、両手で体重をかけて押さえてください)
4.出血が止まったら、清潔なハンカチやネクタイ、包帯などで固定します。
☆処置をしていると忘れがちになりますが、止血の際に注意する点は、「血液に直接触れない、傷口を心臓より高い位置に上げる」ことに注意して行ってください。
「直接圧迫方法」で止血が困難な場合に行います。
動脈を縛ることで止血する方法です。手や足の太い血管の損傷による出血で、手足に限って行って下さい。
※失敗すると止血した部分より先が壊死する危険があるので、「直接圧迫方法」での止血が困難で、やむを得ない場合にのみ行ってください。
<手順>
1.止血帯を用意します。
できるだけ3㎝以上で幅の広いものを止血帯に使用し、ハンカチなど幅の広すぎるものを利用する場合には、畳んで幅を調節してください。
※ロープや紐などの、細いもので縛ると四肢を傷つける危険があるので注意してください。
2.出血部分より心臓に近い部分に当て布を置き、用意した止血帯をゆるく二重に結びます。
3.ゆるく二重結んだ止血帯の結び目の間に、棒を入れます。
4.出血が止まるまで、棒をねじって回し縛ります。(中途半端な止血だと出血量が多くなるので、必ず出血が止まるまで回してください)
5.出血が止まれば棒を固定し、止血開始時刻を記入します。
6.縛る時間が長くなりすぎると、止血帯より先が壊死してしまう危険があるので、30分以上続ける場合は一度ゆるめます。(5~10分)ゆるめている間は、「直接圧迫法」を行ってください。
骨折の疑いがある場合は、まず固定をしてください。骨折や捻挫は、なるべくうごかさないことが大切であるからです。
骨折や捻挫をしたかなと思ったら時は、慌てて無理に動かさず、患部の上下の関節に添え木を当て、固定してください。
<手順>
1.患部を固定します。
骨折した部分(患部)の上下の関節に届く長さのもの(丸めた新聞紙や雑誌、傘などの添え木になるもの)で骨折した部分を支えます。
2.大きいサイズのハンカチなどで固定します。
3.固定した所を吊るします。
骨折した部分が腕であれば三角巾やレジ袋などで首から吊るし、ネクタイなどがあれば胸に縛り付けるとさらに安定させられます。